こんにちは。管理栄養士のtanukiです。
簡単に体重が落ちると評判の「糖質制限ダイエット」。
ところが、過度な糖質制限の陰には、恐ろしい事実が潜んでいるのです。
実際に、一時期は減量に成功したものの、こんなはずじゃなかった…という人は決して珍しくありません。
まず、みなさんに残念なお知らせです。筆者は現在のところ、「これを食べれば大丈夫!」「これを抜けば大丈夫!」といった内容の健康なダイエット方法は存在しないと考えています。
今回は、一躍脚光を浴びた「糖質制限ダイエット」についてメリットとデメリットをご紹介しながら解説し、糖質と正しく付き合う健康的なダイエットについてご紹介します。
糖質制限ダイエットとは?
糖質制限ダイエットとは、その名の通り糖質の摂取量を抑える減量方法です。
なぜ糖質を控えるダイエットが流行しているのか?
その答えを知るには、まずエネルギー源となる3つの栄養素について知る必要があります。
3つの栄養素とは、たんぱく質、脂質、炭水化物。
さらに炭水化物は糖質と食物繊維の2種類に分けられます。
食物繊維は体内で消化されないためエネルギーは産生されず、整腸作用など身体に良い効果がたくさん。
一方で糖質は、ごはんやパン、麺類など、食事の中で非常に大きな割合を占めています。
そのため、糖質を制限することでエネルギー摂取量の大幅な削減が期待でき、すぐに結果が出ると話題になったのです。
糖質制限ダイエットのメリット
メリットを挙げるなら、ずばり「わかりやすさ」と「結果の出やすさ」でしょう。
前述のとおり、糖質は食事の中で大部分を占めており、制限することで大幅なエネルギー摂取量の削減が期待できます。
さらに、糖質を多く含む食品は、ごはんやパン、麺類など比較的わかりやすいのが特徴。
糖質は1gあたり4kcalで、大きめの茶碗に1杯のご飯(200g)を食べると約320kcalとなります。
たとえば、ご飯量を半分の100gに減らすと約160kcalとなり、1日3食で約480kcalの削減に。
おかずの種類や量については、今までと何も変えずに始められるので、取り掛かりやすいのではないでしょうか。
さらに、短期的な結果も比較的出やすいため、すぐに痩せたい!と考えている人には嬉しいですね。
糖質制限ダイエットのデメリット
逆にデメリットはなにか。
それは、「やりすぎると危険」であるということ。
糖質を制限しすぎると、身体への悪影響が生じます。
実は、過度な糖質制限によって痩せているのは、脂肪ではなく筋肉の減少によるもの。
というのも、糖質はブドウ糖に分解され、これは脳にとって唯一のエネルギー源となるのです。
脳では、身体全体の約20%のエネルギーが消費されるといわれており、過度な糖質制限下では、筋肉に蓄えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖を供給します。
筋肉の減少は、身体にとって大きな損失。
筋肉は、身体を支え健康的な生活の維持にはかかせません。
それだけでなく、筋肉は血液中の余分な糖を取り込む貯蔵庫。
筋肉が減ってしまっては、血液中の余分な糖たちは行き場を失い、血液中を彷徨い続けます。
いわゆる高血糖状態が起こりやすくなってしまうのです。
つまり、過度な糖質ダイエットは危険。
長期的にみると、筋肉の減少などにより痩せにくい体質になってしまい、リバウンドのリスクも大きくなってしまうのです。
主食の代わりにお菓子はだめ?
食事中のご飯を抜く代わりに、デザートを食べたい!
ダイエット中に限らず、一度は考えたことないでしょうか?
しかし残念ながら、お菓子は主食の代わりにはなりません。
というのも、そもそも糖質には多くの種類があり、体内への吸収速度も異なります。
ご飯に含まれる糖質は、でんぷんといって多糖類に分類され、消化に時間を要するため吸収速度が遅いのが特徴。
一方で、お菓子に含まれていることが多いショ糖は二糖類といって、比較的はやく吸収されます。
そのため、お菓子を食べると血糖値が急激に上がり、身体に負荷を与えてしまうのです。
さらに、ご飯には食物繊維が含まれており、腸内環境を整えてくれたり、血糖上昇を抑えてくれたりと身体にとって良い働きがたくさん。
そのため、お菓子はあくまで嗜好品として、摂りすぎには注意しましょう。
糖質と上手に付き合っていくには
糖質は、食事の中で比較的わかりやすく制限できる栄養素であり、糖質制限ダイエットは取り掛かりやすいといえるでしょう。
さらに結果がでやすいとなると、制限が過度になることも。
ここまでのお話で、過度な糖質制限の危険性をおわかりいただけたでしょう。
大切なのは、加減を知ること。
日本人の食事摂取基準では、基礎代謝1500kcal/日の人で、糖質の最低必要量は約100g/日であるとされています。
あくまでも糖質を減らすという考え方が大切ということですね。
例えば、200gのご飯を急に0にするのではなく、150g、100gと徐々に減らしてみましょう。
また、ご飯の量を減らすと食物繊維など体にとって大切な栄養素が不足しがちです。
白米から玄米にしてみたり、野菜を積極的に摂るようにしたりと、食生活の工夫ができるとなお良いでしょう。
まとめ
糖質制限ダイエットは、ご飯やパンなどを制限し、摂取エネルギー量を減らすことで体重をおとす方法。
メリットとしては、おかずは変えずに主食の量を変えることから始められ、取り組みやすいこと、体重減少の結果がはやくでやすいことがあります。
一方で、過度な糖質制限にはデメリットも。
糖質は特に脳にとって非常に重要なエネルギー源となり、不足すると筋肉が分解されてしまうのです。
そのため、一時的に体重は減りますが、長期的にみるとやせにくい体質になってしまいます。
大切なのは、節度ある糖質制限をおこなうこと。
ご飯やパンなどの主食をまったく摂らないのではなく、量を減らしてみましょう。
ご飯200gを半分の100gに変更すると、1日3食で約480kcalの削減になります。
ご飯には食物繊維など、身体にとって大切な栄養度が入っており、お菓子類での代用はやめましょう。
白米から玄米にする、野菜を積極的に摂るなどの工夫ができるとさらにGOOD!
ダイエットは、摂取エネルギー量が消費エネルギーを下回ることが重要です。
糖質だけでなく、脂質の摂りすぎや運動不足など、幅広くアプローチすることが、健康的なダイエットにつながるでしょう。
糖質と正しく付き合い、長期的にみて無理なく減量に励みましょう!
参考
日本人の食事摂取基準
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