こんにちは。管理栄養士のtanukiです。
近年、さまざまな種類が展開され、老若男女に需要が広まりつつあるプロテイン。
スーパーやコンビニでも販売され、誰でも簡単に手に取ることができるようになりました。
本来、たんぱく質の構成要素であるアミノ酸は、独特の風味と苦みが特徴的。
おいしく飲めるのでしょうか…?
怖いもの見たさに飲んでみると、これが意外とおいしい!
種類にもよりますが、知らずに飲んだらカフェオレと間違える?とも思えるような甘くてクリーミーなテイストのものも。
開発の方々の努力を感じます…。
さて、前置きが長くなりましたが。おいしく飲めることはわかったが、問題は飲むべきかどうか。
筋トレをしているわけでも、ハードな部活をしている学生でもない。ただ、たんぱく質ってしっかり摂ったほうがいいのよね?そのために私もプロテインをも飲むべき…?
今回は、そんなプロテインとの付き合い方について、疑問にお答えします。
プロテインを正しく理解し、手軽に、より豊かな食生活を目指しましょう!
プロテインとは?
「プロテイン」とは、日本語にすると「たんぱく質」となるように、一般的にたんぱく質の補給を目的としています。
たんぱく質は、体の組織や筋肉を構成する重要な栄養素です。
さらに、エネルギーを生み出すことのできる3つの栄養素のひとつであり、わたしたちの原動力となる貴重な存在。
そのため、不足しないように日々の食事で補う必要があります。
たんぱく質はどのくらい必要?
1日のたんぱく質の必要量は年齢や活動量などによって異なります。
日本人の食事摂取基準によると、特に筋トレなど激しい運動をしていない標準体型の成人で、体重kg×1gが目安。
例として、体重60kgの場合、1日に必要なたんぱく質の量は60gとなります。
一度に吸収できる量には限りがあるため、1日の食事の中で、3食に分けてうまく取り入れましょう。
食品に含まれるたんぱく質量の目安としては、卵1個で約7g。
たんぱく質を多く含むことで良く知られている鶏むね肉(皮なし)は、80gで約19gのたんぱく質を摂ることができます。
たんぱく質は、ご飯やパンなどの主食にも含まれています。
ご飯150g(ごはん茶碗に軽く1杯)で約4g、食パン6枚切り1枚で約6gと、想像より多く感じた方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、たんぱく質を不足なく摂るためには、主食に偏った食事はNG。
特に、朝食を食パンとコーヒーですませている人や、麺類中心の食事が多い人は要注意です。
主食とおかずのそろった食事を摂りましょう。
プロテインを飲む目的は?
① 筋肉量の維持・向上
筋肉は30代がピークで減少し始めるともいわれており、意識的にトレーニングを行う人も多いでしょう。
昨今では、筋肉の維持・向上にはたんぱく質の摂取が必要という知識が広く普及するようになりました。
トレーニングによりたんぱく質の必要量が増加するため、食事に加えてプロテインを摂ることで補っています。
さらに、トレーニングに合わせてプロテインを使い分けるトレーナも増えているようです。
たんぱく質はアミノ酸の集合体。
アミノ酸の状態で摂ることで、素早い吸収が可能になります。
EAA(必須アミノ酸)は体内で合成できないアミノ酸のことをいい、激しいトレーニングによる筋肉の分解を防ぐために、トレーニング前やトレーニング中に摂るのがおすすめ。
EAAの中でも、特にBCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉の修復や強化に役立つとされており、トレーナーの中で高い人気を集めています。
ところが、EAAやBCAAを摂りすぎると、吸収が速いために下痢を起こしてしまうことも。
そのため、EAAやBCAAとプロテインを、うまく使い分けて摂るといいでしょう。
いろいろな種類を使いこなすのはちょっと…という方は、プロテインの中でも比較的吸収が速いホエイプロテインを選ぶのがおすすめです。
② ダイエット
最近では様々なダイエットの知識が普及し、ダイエットのために筋肉をつけるという人もいるようです。
筋肉がつくと基礎代謝が向上し、普段の生活で消費するエネルギー量を増やすことができます。
そして、筋肉をつけるためにはたんぱく質が必須。
現代のパンや麺が普及した食事習慣ではたんぱく質が不足しやすく、補助としてプロテインを活用する人が増えているようです。
特に、ソイプロテインやカゼインプロテインは、消化吸収が緩やかで、腹持ちがよいためおすすめです。
③ 高齢者
前述のように、放っておくと筋肉量は年々減少します。
筋肉量の減少は、「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」など身体機能低下の大きな原因のひとつ。
自立した生活が困難になり、寿命にも影響をもたらします。
そのため厚生労働省では、特に65歳以上の高齢者について、たんぱく質の不足がないよう積極的な摂取を促しています。
④ 美容
たんぱく質は、筋肉だけでなく、髪や肌の構成成分として重要な役割を担っています。
そのため、美容目的で積極的にたんぱく質を摂っている人も多いようです。
特にソイプロテインは、大豆由来のたんぱく質を原料としており、イソフラボンという成分を含みます。
イソフラボンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと同じような効果をもたらすとされており、若々しく健康でありたい女性の味方。
プロテインを飲むメリット
メリットはずばり、「たんぱく質を手軽に補給できる」こと。
ドリンクタイプはそのまま飲むだけ、粉末タイプは水や牛乳に溶かすだけで、簡単に素早くたんぱく質を摂ることができます。
朝食や仕事の合間など、手軽に取り入れやすいのが嬉しいところ。
また、食品からたんぱく質の摂取を増やそうと思うと、どうしても脂質や糖質、塩分が同時についてきてしまいます。
その反面、プロテインにはたんぱく質以外の栄養素はほとんど含まれておらず、エネルギーや塩分を抑えてたんぱく質を摂りたい、という人にはとても嬉しいですね。
プロテインを飲むデメリット
デメリットとしては、「多量摂取や習慣的摂取による安全性の担保がない」こと。
食品からたんぱく質を摂取する場合と異なり、プロテインにはビタミンやミネラルなどの微量栄養素が含まれていないものが一般的です。
筋肉の形成を含め、たんぱく質の代謝にはさまざまな微量栄養素が関わっており、プロテインを摂取しすぎると、微量栄養素が不足して代謝に支障をきたす場合も。
さらに、摂りすぎて余ったたんぱく質は肝臓や腎臓の働きによって代謝されるため、プロテインの多量摂取は臓器に負担をかけることにつながります。
そのため、プロテインはあくまでも食事の補助として利用するのがおすすめです。
また、糖質を含まずに甘く飲みやすい味に仕上げるためには、人工甘味料を使用するのが一般的。
しかし、人工甘味料にはいまだ謎が多く、習慣的な摂取が必ずしも安全であるとはいえません。
発がん性や、血糖コントロールへの悪影響なども懸念されています。
そのため、今後も情報にアンテナを張り、摂取量と頻度を検討していく必要があるでしょう。
たんぱく質だけでは筋肉はできない⁈
最後に、筋肉はたんぱく質だけでは作られません。
エネルギー源となる糖質や脂質が不足すると、たんぱく質はエネルギーとして優先的に使われ、筋肉の合成には使用されなくなってしまいます。
さらに、前述のとおり、筋肉の合成過程は複雑でさまざまな微量栄養素が必要です。
そのため、たんぱく質の不足がないように注意しつつ、バランスの良い食事をすることが重要となります。
プロテインは飲むべき?
プロテインは、美味しく簡単にたんぱく質を摂ることができるため、非常に便利な食品であるといえます。
しかし、プロテインに頼りすぎた食生活では、微量栄養素の不足、臓器への負担や人工甘味料の問題を無視できないでしょう。
そのため、バランスの良い食事に加えて、あくまで補助的な使用がおすすめです。
特に、トレーニングをしている人や、高齢者、また普段の食事でたんぱく質が抜けがちな人は、朝食や間食に付加するとよいかもしれませんね!
まとめ
プロテインは一部のトレーナーが飲むもの、というイメージから一転し、スーパーやコンビニなど、誰でも簡単に手に取ることができるようになってきました。
筋トレをしていなくても飲むべき…?
プロテインは、正しく理解することで、手軽に、より豊かな食生活を目指す助けになるでしょう。
「プロテイン」とは、「たんぱく質」のこと。
たんぱく質は、体の組織や筋肉を構成する重要な栄養素です。
摂取不足により体の組織に十分なたんぱく質を供給できなくなると、筋肉の分解が起こります。
その結果、基礎代謝の低下や、血糖コントロール不良の原因となることも。
さらに、筋肉が少ない状態のまま年齢を重ねていくと、身体機能低下に陥り、自立した生活が困難になりかねません。
朝食をパンとコーヒーだけですませていたり、麺類中心の食事が多い人は、黄色信号です。
たんぱく質の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準によると、特に筋トレなど激しい運動をしていない標準体型の成人で、体重kg×1g。
体重60kgの場合、1日に必要なたんぱく質の量は60gとなります。
一度に吸収できるたんぱく質の量は限られているため、主食とおかずのそろった食事を1日3回きちんと摂ることが大切です。
とはいっても、生活スタイルによっては、食事だけでたんぱく質の必要量をまかなうのは難しい場合も。
また、トレーニングをしている場合たんぱく質の必要量が増加しますし、高齢者では筋肉保持のために積極的なたんぱく質の摂取が促されています。
プロテインは、「たんぱく質を手軽に補給できる」のが大きな魅力。
ドリンクタイプはそのまま飲むだけ、粉末タイプは水や牛乳に溶かすだけなので、朝食や仕事の合間など、手軽に取り入れることができます。
また、プロテインはたんぱく質以外の栄養素はほとんど含まないため、エネルギーや塩分などを抑えてたんぱく質を摂りたいという人には嬉しいですね。
しかし、プロテインの多量摂取や習慣的な摂取には、危険も潜んでいます。
プロテインに頼りすぎた食生活では、微量栄養素の不足や、腎臓や肝臓に負担をかけることにつながりかねません。
また、多くのプロテインには人工甘味料が使用されており、習慣的な摂取による安全性に関して、いまだに謎が多いまま。
発がん性や血糖コントロールへの悪影響も懸念されており、今後も情報にアンテナを張り、摂取量と頻度を検討していく必要があるでしょう。
以上のことをふまえ、プロテインは、バランスのよい食事を目指すうえで、たんぱく質の不足を補うための使用がおすすめです。
プロテインを正しく理解して、健康的な生活を目指しましょう!
参考
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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