こんにちは。管理栄養士のtanukiです。
みなさんは、骨粗鬆症ときいてどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
お年寄りの病気…?カルシウム不足…?
骨粗鬆症には骨密度が大きくかかわっており、骨密度は20歳頃をピークに減少の一途をたどるのです。
カルシウムをたくさん摂っているのに、骨密度が低いといわれた…
骨年齢が実年齢より高かった…
こんなはずじゃなかった…という方を多く見かけてきましたが、実はカルシウムだけでは丈夫な骨は作れないのです。
丈夫な骨を作るためには、カルシウムだけでなく、多くのビタミンとたんぱく質が必要不可欠!
ビタミンD、K、B群が大きくかかわっていますが、中でも今回は、ビタミンDに焦点を当ててお話をしていきます!
ビタミンを正しく理解することは、健康への大きな一歩です!
ではさっそくみていきましょう!
ビタミンDってなに?
ビタミンDの主な働きは、ずばり骨を丈夫に保つこと!
丈夫な骨にはカルシウム!と思われがちですが、実はカルシウムだけで丈夫な骨は作れません。
ビタミンDには、腸管や肝臓で、骨のもととなるカルシウムやリンの吸収を助け、血中のカルシウム濃度を高く保つ働きがあります。
つまり、カルシウムと一緒にビタミンDを摂ることで丈夫な骨を作ることができるのです。
また、骨だけでなく歯の健康を保つこと、筋肉の収縮運動や神経伝達にも役立つことがわかっています。
では、いったいどのくらいのビタミンDを摂る必要があるのでしょうか?
ビタミンDの適量は?
成人におけるビタミンDの適量は、日本人の食事摂取基準によると、5.5μg/日であると示されています。
しかし、ビタミンDの適量について考えるためには、ビタミンDを得る2つのルートを考える必要があります。
ひとつは、紫外線を浴びて皮膚からビタミンDを合成する方法。
そしてもうひとつは、食品から摂る方法。
わたしたちの皮膚には、“ビタミンDのもと”が存在しており、これが紫外線にあたることでビタミンDとなります。
例えば、5.5μgのビタミンDを産生するために必要な日照時間は、7月の札幌で正午に約5分なのに対し、同条件の12月では約77分が必要とされています。
また、7月の那覇では正午に約3分、同条件の12月では約8分という結果に。
さらに、つくばでは、7月の正午で約4分、12月では23分でした。
このように、皮膚からの合成は紫外線量に影響されるため、地域や季節、また天候によっても大きく異なります。
そのため、紫外線によるビタミンD産生量を考慮するのは難しく、日本人の食事摂取基準では、適量の設定に難航し、目安量として適量を設定しています。
目安量とは、日本人の食事摂取基準において、十分な科学的根拠が得られていない場合に目安として設定される数値のこと。
今回、ビタミンDの適量の設定には、アメリカやカナダの研究結果を参考に、最もビタミンD産生量が少ないと考えられる冬季の札幌における値を用いて算出され、食品から摂る目安量は5.5μgとなりました。
つまり、ある程度の外出があり適度に紫外線を浴びる生活では、多くの場合、食事からの摂取不足は大きな問題にはならないといえるでしょう。
とはいえ、適度に食事からも摂れるとさらに安心ですね!
一方で、全く外に出ない生活を送っていたり、紫外線の防御が万全な場合には、食事からしっかりとビタミンDを摂る必要があります。
ではさっそく次の章で、ビタミンDを食品から摂る方法について学んでいきましょう。
ビタミンDを多く含む食品
ここからは、食品からビタミンDを摂る方法についてお話していきます。
ビタミンDを多く含む代表的な食品として、魚類、きのこ類、卵黄が挙げられます。
魚類では、イワシや鮭、ウナギなど。特に、皮の部分に多く含まれるため、皮まで残さず食べるのがおすすめ。
例えば、紅鮭100gには33μgのビタミンDが含まれます。
魚類やきのこ類を、1日のうち1食でも取り入れることができれば、適量を摂るのは難しくないでしょう。
ちなみに、きのこ類の中でも、天日干しされた干しきのこは、特にビタミンDを多く含みます。
しかし、最近の乾燥きのこは電気乾燥させていることも多く、購入後に天日干ししてから使用するのがよさそうです。
また、ビタミンDだけでは丈夫な骨は作れないため、特にカルシウムの不足には注意しましょう。
小魚を骨ごと食べると、ビタミンⅮとカルシウムの両方をたっぷり摂ることができますよ。
ビタミンD欠乏症とは
ビタミンDには、欠乏症と呼ばれる症状の存在が明らかとなっています。
ビタミンDが不足すると、成人の場合、骨軟化症と呼ばれる症状をきたすことがあります。
骨が変形して脊椎が曲がってしまう状態を指します。
特に、妊婦や授乳婦に多く見られるため注意が必要です。
また、高齢者では骨折予防やフレイルといって
さらに、ビタミンDの不足による発がんリスクの上昇についても研究がすすんでいます。
また、成長期の子どもの場合は骨の成長障害が起こり、くる病といって背骨や足が曲がってしまう症状が出現することも。
普段から紫外線を浴びる機会が少ない人は、食事からの摂取量を気にかけて、不足に注意しましょう!
ビタミンDには過剰症もある…?!
ビタミンDを摂りすぎると、体内のカルシウムが過剰となり、高カルシウム血症きたす場合があります。
高カルシウム血症により、腎臓の機能低下につながります。
ですが、過剰症を考慮した食事からの耐容上限量は100µg/日と設定されており、通常の食生活で過剰症はほとんど起こらないといえるでしょう。
また、紫外線による皮膚での産生は、必要以上とならないよう調節されており、日照による過剰症の心配はありません。
まとめ
ビタミンDは、主に骨の健康を支える役割を持ちます。
骨のもととなるカルシウムやリンの吸収を助け、丈夫な骨を保ちます。
ビタミンDの適量は、日本人の食事摂取基準によると、5.5μg/日。
魚類、きのこ類、卵黄に豊富に含まれます。
例えば、紅鮭100gに含まれるビタミンDは33μg。
魚類では、特に皮の部分に多く含まれるため、皮まで残さず食べるのがおすすめです。
また、実はビタミンDは、紫外線があたることにより、皮膚で産生することができます。
しかし、皮膚からの合成は紫外線量に影響されるため、地域や季節、また天候によっても大きく異なります。
例えば、5.5μgのビタミンDを産生するのに要する時間は、つくばでは7月の正午で約4分、12月では23分という結果に。
日照時間が少ない地域や季節、また家からほとんど出ないなど、紫外線を浴びる機会が少ない生活を送っている場合は、不測のないよう食事からの摂取を心がける必要があります。
ビタミンDが不足すると、成人の場合、骨軟化症と呼ばれる症状をきたすことがあります。
骨が変形して脊椎が曲がってしまう状態を指します。
特に、妊婦や授乳婦に多く見られるため注意が必要です。
また、高齢者では骨折予防やフレイルといって
さらに、ビタミンDの不足による発がんリスクの上昇についても研究がすすんでいます。
また、成長期の子どもの場合は骨の成長障害が起こり、くる病といって背骨や足が曲がってしまう症状が出現することも。
一方で、過剰症を考慮した食事からの耐容上限量は100µg/日と設定されており、通常の食生活で過剰症はほとんど起こらないといえるでしょう。
また、紫外線による皮膚での産生は、必要以上とならないよう調節されており、日照による過剰症の心配はありません。
ビタミンDの不足を防いで、いつまでも丈夫な骨を目指しませんか?
参考
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
栄養学と食のきほん事典 西東社 井上正子監修
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